Home > IPv6実践導入ガイド > 01 IPv6とはどんな規格か
IPv6には、IPv4でも使われている「ユニキャスト」「マルチキャスト」に加え「エニーキャスト」が追加されている。(厳密にいうとIPv4にもエニーキャストは定義されている)
逆にIPv4で使用されていた「ブロードキャスト」が廃止され、代わりにマルチキャストが使われるようになっている。
ユニキャストとは、ノードが1対1の双方向通信をする通信方式だ。このユニキャスト通信をする際に使用されるのが「ユニキャストアドレス」だ。
httpやsmtpなど大半のデータ通信はユニキャストアドレスを使用している。
[ ユニキャスト ]
IPv6のユニキャストアドレスは、GUA、ULA、リンクローカルアドレス、ループバックアドレスだ。
特殊用途で「不定アドレス」がある。不定アドレスは、IPv6アドレスが特定されていない(構成されていない)場合であったり、全てのIPv6アドレスを表現する(デフォルトゲートウェイ)場合に使用され、「::/0」と表現される事もある。
[ ユニキャストアドレスの種類 ]
スコープ | 呼称 | IPv6アドレス |
グローバル | GUA | 2000::/3 |
サイト | ULA | fc00::/7 |
リンク | リンクローカル アドレス | fe80::/10 |
ノード | ループバック | ::1/128 |
特殊 | 不定アドレス | ::/128 |
マルチキャストとは、ノードが1対多の片方向通信をする通信方式だ。このマルチキャスト通信をする際に使用されるのが「マルチキャストアドレス」だ。
マルチキャストはストリーミング等の放送的な用途に使われ、受信を希望するノードに対してマルチキャスト対応のルーターでパケットがコピーされるイメージを持ってもらうと良いだろう。
[ マルチキャスト ]
IPv6のマルチキャストアドレスは、グローバルスコープマルチキャスト、サイトスコープマルチキャスト、リンクローカルスコープマルチキャスト、インターフェイスローカルマルチキャストだ。
マルチキャストには、「ff00::/8」が割り当てられており、スコープごとに使用できるプレフィックスが決められている。
[ マルチキャストアドレスの種類 ]
スコープ | 呼称 | IPv6アドレス |
グローバル | グローバル スコープ マルチキャスト | ff0e:: |
サイト | サイト スコープ マルチキャスト | ff05:: |
リンク | リンク スコープ マルチキャスト | ff02:: |
ノード | ノード スコープ マルチキャスト | ff01:: |
エニーキャストはマルチキャストに良く似ており、ノードが1対多の片方向通信をする通信方式だ。
マルチキャストは受信を希望するノードだけがパケットを受信するが、エニーキャストは指定したリンクに所属する全てのノード宛の通信で、リプライをするのはリンク内のいずれかのノードだ。
執筆段階でエニーキャストはあまり活用されていない。
[ エニーキャスト ]
IPv6ではリンクスコープで使用されるIPアドレスがとても重要な役割を担っており、リンクローカルアドレスとリンクスコープマルチキャストがRAやND等のIPv6通信の基本的なコントロールをするために使用さている。
IPv6移行用に考案されている特殊なIPv6アドレスも数多くある。本書では技術解説で簡単に解説しているが、詳細仕様に興味がある方は技術解説にあるRFCを参照されると良いだろう。
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