本書の読み方


本書は「実践インターネットサイト構築技法」の続編にあたる。前著ではNT Serverを使ってインターネットサイトを構築する方法全般について解説したが、本書でルータにおけるセキュリティ確保方法を掘り下げて一冊にまとめた。ルータに限った本であるのでサーバのOSに依存していない。既にUNIX、OS/2、NetWare、Macintosh、WindowsNTでインターネットサイトを構築し運用している方、これからインターネットサイトを構築しようとしている方すべてに有用な情報になるはずだ。

本書が想定しているのは「末端」のインターネットサイトである。プロバイダまで専用回線を引いてインターネットと接続しており、下流にネットワークが存在していないサイトで使用するルータがターゲットである。

また、読者はある程度ルータの設定が出来る事を想定しているので、具体的な設定方法にまでは言及していない。お手持ちのルータ、あるいはこれから購入しようとしているルータを初めてセットアップする時に参照するマニュアル的な解説書をお探しならば別の書籍を手にするのが賢明である。残念ながら本書はその部類の書籍ではない。少なくともルータのIPアドレス変更方法、telnetの使い方など初期設定に必要な最低限の知識が備わっていないうちは本書は無意味な存在であろう。ただし、初期設定完了後に必要になる技術について本書は解説しているので、初期設定のノウハウ本を購入した後に財布に余裕があれば一緒にレジまで運んでもらいたい。もっとも、最近のルータは初心者を想定した初期導入用のマニュアルが添付されているので初期設定用のノウハウ本が必要であるかは疑問である。

ルータを使用したダイヤルアップ接続が目的であれば本書は全く話題が異なるので書棚に返していただきたい。執筆当初はルータによるダイヤルアップ接続についてもページを割こうかと思ったのだが、本書はセキュリティに関する概念と方法論が中心になっているので、ダイヤルアップを実現したいだけであれば、読むべき情報は数ページで終わってしまう。その為だけに本書を購入していただくのはあまりにも無意味なので敢えて割愛した。最近のルータにはダイヤルアップ接続の設定方法を解説したマニュアルが必ず添付されているのでそれだけで十分であろうし、雑誌でもルータによるダイヤルアップ設定に関する記事は数多く書かれているので、それらで十分であろう。ダイヤルアップ環境下においてもセキュリティに気を使うのであれば本書の内容は十分役に立つはずだ。

立ち読みの段階で1章と2章を読んで頂き「セキュリティに不安を覚える」と感じたら、このままレジまで運んで頂きたい。

TCP/IPが理解出来ている方は3章と4章は飛ばして頂いて構わない。必ず読んで頂きたいのは5章と6章である。ここでセキュリティポリシーを決定し、8章の具体的なルータ設定内容に進んで頂きたい。8章ではYAMAHAのRTシリーズとNTT-TE東京のMN128SOHO/SL10しか扱っていないが、他のルータであっても考え方は同じなのでルータのマニュアルを参考にセキュリティポリシーに従ったフィルタを設定して頂きたい。

なお、本書の正誤表、補足説明、その他追加情報は筆者のホームページ(http://www.vwnet.jp)で随時公開する。また私設ニュースサーバで情報交換をしているので是非一度遊びにきて頂きたい。一部のコンテンツはパスワード無いと入れないところがある。これらのページを見る事のが出来るアカウントは UserID:***** Password:*****(公開ページにつき伏せ字にしています) となっている。なお、執筆中の原稿に関するページは一般公開していないので、このアカウントでは見ることが出来ない。

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