Home > IPv6実践導入ガイド

はじめに


最初にお断りしておくが、本書は「IPv6の技術解説書」ではない。技術解説の章もあるが、リファレンスと読まれることを想定した概要解説程度だ。

本書は「如何にしてIPv6を導入するのか」に主眼に、IPv6の具体的な導入手法を中心に解説してる「IPv6導入手引き書」だ。

このため、IPv6そのものの解説は、必要最低限にとどめ「これだけ知っていればIPv6導入と運用はできる」を主眼にしている。
IPv6そのものについて深く学びたいのであれば、他に良書が沢山あるので、そちらを購読してただきたい。

ちなみには、筆者がお勧めするIPv6そのものを学ぶための書籍は、オライリーの「IPv6エッセンシャルズ(執筆段階の最新は第2版)」だ。

IPv6の事は勉強したが「で、具体的にIPv6をどう導入すれば良いの?」と悩まれている方に本書はぴったりの内容になっている。

2011年2月3日にグローバルIPv4アドレスの中央倉庫であるIANA(http://www.iana.org/)の在庫が無くなり、同年の4月15日にアジア地区のグローバルIPv4アドレス倉庫であるAPNIC(http://www.apnic.net/)の在庫も尽きた。
日本のグローバルIPv4アドレスを管理しているJPNICは、独自在庫を持っておらず、直接APNICからISP等の業者にグローバルIPv4 アドレスを割り当てをしているので、同日付けで日本のグローバルIPv4アドレスも枯渇した事になる。
この日以降、グローバルIPv4アドレスは、ISPなどの業者が持っている流通在庫しか残っておらず、遅かれ早かれグローバルIPv4アドレスを使ったインターネットの進化が止まる。

グローバルIPv4が枯渇したからといっても、IPv4がインターネット上で使えなくなるわけではなく、新たなIPv4アドレス配給が受けられないので、IPv4でのインターネットサービスの拡張ができなくなったり、動的IP利用者に対しグローバルアドレス割り当てをせずISPレベルのNAPTであるLSNでローカルアドレスを割り当てると言った事態になる。
このままでは、IPv4でのインターネットサービス拡張が出来なくなってしまうので、インターネット文化が衰退しかねない危機的状況になってしまったのだ。

この問題を抜本的に解決すべく登場したのがIPv6だ。

執筆段階で17年も前に登場したIPv6であるが、NATやCIDRでIPv4が延命され、IPv4アドレスが枯渇した2011年でもIPv6は十分普及しているプロトコルとは言い難い状態だ。
IPv6が普及していないもう一つの理由は「IPv4と互換性がいない」という点だ。これはIPv6を導入するためには、IPv6対応の機器を導入する必要性があるだけではなく、IPv4とは別の技術習得をする必要があるという事を意味している。

IPv6の注目が高まり、IPv6技術を習得しているエンジニアが増えたとしても、IPv6導入ノウハウが少ない中でIPv6をどうやって導入/運用していけばいいのかといった実務部分が障壁となってしまう。

これからIPv6を検討導入したいが、何から手を付けていいのかわからないとか、具体的にどのようにすればIPv6を導入できるか悩まれている方にこそ本書を読んでいただきたい。

IPv6を今すぐ導入しなくても、インターネットが使えなくなるといったことはないが、IPv6を導入しないと、真綿で首を絞められるようにじわじわと影響が出てくる。
IPv6の導入判断ポイントも本書で触れている。IPv6を導入しない場合のリスクを評価し、それを踏まえた上でIPv6を導入の先送り、あるいはIPv6を導入しない判断をするのであれば、それは正しい選択だが、「時期尚早」とか「他社も着手していない」からといった漠然とした根拠に乏しい理由でIPv6導入を否定的に考えるのだけはやめていただきたい。

IPv6を導入せざるを得ない状態になって、慌てて動き始めてもノウハウが全く無い状態で簡単にIPv6導入/運用ができるほど甘くはない。
IPv6を導入せず、IPv4だけを使い続けるのは、インターネット文化を衰退させ、やがてインターネットを死に追いやるだけでしかない。
メールや、Webサービス、クラウドサービス、ネットショッピング、SNSなど、我々の生活はインターネットなしでは存続が難しいほどインターネットに依存している。

この素晴らしいインターネット文化を、より発展させるためにもIPv6導入には前向きに取り組んでいただきたい。

 

>> 01-IPv6とはどんな規格か

 

back.gif (1980 バイト)

home.gif (1907 バイト)

Copyright © MURA All rights reserved.